輸出の流れ
1)市場調査 輸出者は、輸出取引を行うにあたって、海外市場を調査・研究をすること。
市場調査の項目は多岐に渡り、政治・文化・外交・運輸に関することから、貿易管理制度、通関手続の方法、金融
・為替制度といったものまで、あらゆる角度から調査・研究が行われます。
2)輸出商品の決定
輸出者は、輸出する商品について、品質、デザイン、色、価格、使用方法、包装などを考えあわせて、どのような
商品が輸出商品として最適かを検討します。
輸出する商品に輸入国では見ることができないセールス・ポイントが多くあれば、それだけ輸入者の心を惹き付ける
ことになります。
3)輸出交渉
売り手は、買い手に対して販売の申し込みを行います。
これをオファー(Offer)といいます。オファーに対して買い手は、内容を検討し、承諾するかどうかを決めます。
売り手側の条件を受け入れれば、売買契約の成立となります。オファーには、確定オファー、確認条件付オファー
などがあります。
4)輸出契約を結ぶ
輸出契約を結ぶ際は、取引条件に十分注意しましょう。
数量、品質、支払条件、船積期限、クレームは勿論のこと、価格条件には、特に注意が必要。価格の建て方の基準を
示すものとして、インコタームズ(Incoterms)があります。
代表的なものに、FOB、CIF、CFRなどがあります。
5)信用状を入手(LC)
輸出者は、輸出契約締結後、輸入者に対し、信用状の発行を要求します。
輸出者は、輸入地の発行銀行(Issuing Bank)が発行した信用状を国内の通知銀行より入手します。
輸出者は信用状を受け取ると、取消不能信用状(Irrevocable Letter of Credit)であるかどうかを必ず確認
する必要があります。
6)信用状のチェック
輸出者は、入手した信用状の内容(商品名・数量・金額・最終船積日など)が契約と異なっていたら、速やかに信用
状の変更を依頼します。
次に輸出者は、入手した信用状に基づいて、船積書類の作成にかかります。
7)許可・承認などの手続き
輸出は原則自由ですが、商品によっては「輸出承認」「輸出許可」などを必要とするものもある。
このような商品を輸出しようとする際には、事前に必要な手続きをしておく必要がある。
輸出者は、国内の輸出規制に関しての法律知識が必要とされます。
8)船会社へブッキング(船腹予約のこと)
輸出者は、輸出する貨物が準備でき、船積の予定が決まると、船会社に対して船腹の予約を行います。
信用状指定の船腹期限内に船積できる船を選び、船会社に船腹の予約を行います。
船会社によって海上運賃が異なりますので、輸出者は、海上運賃についても十分な知識が必要です。
9)保険会社へ予約
輸出者は、CIF(運賃保険料込)条件やCIP(運送費保険料込)条件の場合は保険手続を行います。
海上保険申込書を提出し、保険料金を支払い、海上保険証券を入手します。
信用状取引の場合は、LC(信用状)のコピーを一部送付して作成してもらう必要がある(信用状に基づいて)。
入手した保険証券は、万一のときに備え内容を必ず確認する必要がある。貿易条件によって、保険手続きを、輸出者
側が行う場合と、輸入者側が行う場合とがある
<保険証券(IP:Insurance Policy)の記載事項>
@被保険者 A送り状番号 B保険金額 C保険条件 D保険の支払地と損害査定代理人
E積載船名 F船積港 G本船出港日 H荷揚港 I貨物及び商品名 J証券作成地 K証券発行部数
10)船積書類の作成
輸出者は、信用状の内容を十分に把握し、信用状の内容通りに船積、通関手続きに必要な次の書類を作成します。
@通関用インボイス(Customs Invoice)、A通関用包装明細書(Customs Packing List)、
B船積用インストラクション(Shipping Instructions)、C輸出報告書(ER:Export Report)
その他必要に応じてカタログなども準備します。*インストラクション:Instructions(常に複数形)
<輸出契約後、船積依頼までに必要な書類>
@信用状 Letter of Credit A商業送り状 Commercial Invoice B包装明細書 Packing List
C船腹依頼書 Shipping Instructions D船腹予約書 Booking Note
11)海貨業者へ依頼
船積の準備から通関手続き、本船への貨物の積込みは、専門業者へ依頼します。
このような手続きを行う専門業者は、通関業者(Customs Broker)、海貨貨物取扱業者
(海貨業者:Freight Forwarder)と呼ばれます。
輸出者が、これらの専門業者へ依頼する時に作成する書類が船積指示書(Shipping Instructions)です。
船積指示書(SI:Shipping Instructipons)とは
SIは、輸出者が作成し、海貨業者、通関業者に「このような通関、船積手続きをしてください」
「このようなBLを入手してください」と指示する書類です。
信用状取引きの場合は、輸出者は信用状の条件に基づき、SIを作成します。
特に船荷証券(BL)の作成要領を指示するものですから、作成には十分注意しましょう。
海貨業者、通関業者は、入手したSIに基づき業務を開始します。
12)通関書類の作成
通関業者は、輸出申告の際に、輸出者より入手したInvoiceやPacking List ををチェックし、輸出申告書
(ED:Export Declaration)を作成します。
輸出商品を輸出統計品目表に照らして、該当する統計品目番号を決めます。
通関士の確認の後、「海上貨物通関処理システム」を使用し、輸出申告を行います。
(参考)現在、輸出金額が500万円を超える場合には、輸出報告書が必要です。
<輸出報告書の記載事項>
@契約条件(外国為替の種類) A手形期間 B未使用残高 C接受年月日 D有効期限 E建値
F総額 G輸出者 H商品名 I数量 J仕向地 K買主名 L税関の輸出許可が押される。
<通関時に必要な書類>
@商業送り状(Commercial Invoice) A包装明細書(Packing List) B輸出報告書(Export Report)
C輸出申告書(Export Declaration) Dカタログ(Catalog)
13)輸出申告・許可
通関業者によって輸出申告された書類は、税関によって審査されます。問題がなければ、輸出許可書が申告者に
交付されます。
輸出が許可された貨物は関税法上の外国貨物として扱われ、自由に船積することができます。
現在は「海上貨物通関情報処理システム」により、申告・審査・許可がスピーデイに行われます。
14)バンニング
コンテナ船によって運搬される輸出品が非常に多くなりました。
海貨業者は、船会社のコンテナ・ヤード(CY)から、空のコンテナをピック・アップし、コンテナに輸出貨物を
積め込んでゆきます。
(コンテナ積みをバンニングと呼びます)バンニングが終わるとシールで封印し、コンテナ・ヤードに搬入します。
15)手仕舞書類の作成
海貨業者は、貨物のバンニング作業と並行して、手仕舞書類の作成を行います。
輸出手続きに必要なドック・レシート(DR:Dock Receipt)、コンテナ・ロード・プラン(CLP:Container Load
Plan)を作成します。
そして、輸出許可証とコンテナ貨物搬入票をセットし、コンテナ・ヤードの事務所に提出します。
*手仕舞い:取引きで「売り」または「買い」の約束をしたものを買い戻し・転売したりして、取引を終了させること
16)本船に船積み
海貨業者によってバンニングされた貨物は、トレーラーによってコンテナ・ターミナルへ搬入されます。
コンテナ・ターミナルのゲートでは、コンテナの外装やシール(封印)のチェックが行われます。
搬入されたコンテナは、指定された場所に蔵置され、本船船積プラン にそって本船に積み込まれます。
<船積時に必要な書類>
@商業送り状(Commercial Invoice)A包装明細書( Packing List)Bドック・レシート (Dock Receipt)
Cコンテナ明細書 (Container Load Plan)D船荷証券(Bill of Lading)B船積指図書(Shipping
Order)
D本船受取書(Mate's Receipt)E保償状’(Letter of Indemnity)
17)船積通知を送る
輸出者は、船積みが無事終了すると、ただちに輸入者に対してその明細をテレックスやFAXで連絡します。
これを船積通知(Shipping Advice)といいます。
輸入者の必要とする船名、数量、品名、出港日、入港予定日などを記入する。
信用状に特別な条件がある場合は、オリジナルBLの一部を直送することもある。
18)船荷証券(Bill of Lading)の入手
輸出者または海貨業者は、船積が終了すると、船荷証券(BL)を入手します。
船会社に連絡し、BL発行の確認をとります。海上運賃がPrepaidのときは、支払いを済ませBLを入手します。
入手したBLは有価証券であり、買い取り時の大切な書類となりますので、内容をしっかり確認しましょう。
<船荷証券の性格>
@船会社が受け取ったことを示す貨物受取証
A船会社が運送を引き受けたことを示す運送契約書
B船荷証券の所持人が貨物の引渡しを請求できる権利証券
C船荷証券の裏書きや引渡しにより、他に転売できる有価証券
<船荷証券の記載事項>
@輸出者名 A荷受人 BBLナンバー C着荷通知先 D船名 Eケース・マーク F商品明細
H総重量 I総容積 J海上運賃 KBL原本発行枚数
19)買取書類の作成
輸出者は、船積みが終了すると、輸出代金の回収のため、買取書類の作成を行います。
買取書類の作成を行います。
信用状取引の場合は、信用状の指示に従い、外国為替手形をはじめ他に要求されている書類を必要通数作成します。
必要に応じて、原産地証明書、領事送り状なども用意します。
※為替手形(BE:Bill of Exchange)
輸出者が、代金を回収に取り掛かるときに作成する重要書類。
為替手形はミスが許されない。特に、LC取引きのときは、LCと照らし合わせて完璧に作成する必要あり。
通常為替手形は、2枚1組になっている。作成後は、金額やスペルミスがないかを確認し銀行に提出する。
<為替手形の記載事項>
@手形番号 A手形金額 B手形の振出地 C手形の振出日 D手形の受取人 E輸入者名 F金額 G発行銀行名
H名宛人 I輸出者名
20)取引銀行へ持ち込む(輸出代金の回収)
輸出者は、外国為替手形の他に、船荷証券、インボイス、包装明細書、海上保険証券、信用状原本や輸出報告書など
必要なものを揃えて取引銀行へ買取の依頼をします。
銀行側は、持ち込まれた書類について、必要数の確認や署名の有無など信用状条件と内容が一致しているかを十分に
チェックします。
問題がなければ、銀行は、荷為替手形(Draft)を買い取ります。
これで、輸出者は、輸出代金を回収したことになります。
※買取時に必要な書類
@信用状( Letter of Credit)
A(荷)為替手形 Bill of Exchange:Draft 第一券、第二券
B荷為替手形買取依頼書 (Application for Negotiation of Documentary Bill)
銀行に提出する書類の種類と枚数を記入する。
C船荷証券(Bill of Lading) 信用状に要求されている通数。FULL SETTは3枚です。
D商業送り状 (Commercial Invoice )信用状に要求されている必要事項が記入されている
E包装明細書(Packing List)
F(海上)保険証券 (Marine Insurance Policy) CIF、C&I条件などの時に必要。
G原産地証明書(Certificate of Origin)
H領事インボイス( Consular Invoice)
I税関インボイス(Customs Invoice)
J重量容積証明書(Certificate & List of Measurement and/or Weight)
※荷為替手形買取依頼書(Application for Negotiation)
輸出者は、船積が終わるとLCに要求されている書類を整え為替手形を作成し取引銀行に買取りを依頼します。
輸出者は、買取銀行所定の為替手形を作成しますが、同時に銀行買取依頼書を作成します。
買取依頼書とは、銀行に提出する船積書類の種類と枚数を記入したものです。
このことにより買取銀行は、どのような書類が輸出者より提出されたかを確認できるものです。
※原産地証明書(CO:Certificate of Origin)
原産地証明書とは、輸出する商品が日本製であることを証明するものです。
輸出者は、輸入者の要求により原産地証明書(CO:Certificate of Origin)を作成し、各地の商工会議所などで
申請します。
申請時にはインボイス添付、申請後約半日で原産地証明書の右下部に商工会議所の認印が押され発行されます。
信用状(LC)に要求された場合は、輸出者は、買取時までにこれを整え、船荷証券(BL)などとともに銀行に提出
しなければなりません。
※重量容積証明書(Certificate and List of Measurement and/or Weight)
重量容積証明書とは、公認宣誓検量人(Authorized Sworn Measurer)によって検量された貨物の重量・
容積に関する証明書です。
重量容積証明書は、船積時に、どれだけの容量・重量があったかを証明するもので、この数字が海上運賃の基礎
となります。
輸出者は、信用状に重量容積証明書が要求されているときは、為替手形とともに買取時に銀行に提出しなければ
なりません。
なお、主な検定・検数協会として次のものがあります。
日本海事検定協会、新日本検定協会、日本貨物検数協会、全日本検数協会。
※船会社の選定
輸出者は、輸入国までの最適経路や海上運賃を考え合わせ、船会社にブッキングを行います。
本船の最新情報や輸入国の港湾情報、海上運賃の変動など輸出者として必要な情報をタイムリーに提供してくれる
船会社を見つけることが大切である。
